カーボンの特性について

カーボンには、他の物質にはないいくつもの特性を持っています。電気抵抗が少ないことや耐熱性が高いことなどが、多くの製品の機能を向上することに役に立っています。

このような特性があるため、モーターの部品としてカーボンが採用されると優れた性能のモーターの製造が可能になったり、耐熱性が必要とされる宇宙船に使用されることで安全な運用が出来るようになるなど、多くの分野で画期的な結果をもたらしました。

また、カーボンの繊維をプラスティックと混ぜて使用することによって、従来のプラスティックにはない強度を実現することが可能となり、プラスティックを航空機や自動車のフレームとして使うことも出来るようになっています。

しかし、カーボンの特性を活かすためには、カーボンの保存方法や加工方法について、最適な方法を選択することが求められます。

保存を行う場所については、適切な温度になるように常に室温が管理される必要がありますし、裁断などの処理を行う場所は僅かな不純物でも混入しないようにクリーンルームでの作業が必要となります。

加工する工作機械もカーボンの素材を損なわないようなものを使わなくては、カーボンの特性を活かした製品を製作することは出来ないのです。

しかも、カーボンナノチューブやフラーレンのようなカーボン独自の構造を持ったものについては、まだ研究開発段階にありますので、これからさらに新しい材料などが製造される余地が大いに残っているのです。

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<目次>
1)カーボン板の特性
2)カーボンシートの特性
3)カーボングラファイトの特性
4)CFRP(炭素繊維強化プラスチック)とは
5)カーボン カッティングシートについて
6)カーボンナノチューブについて
7)グラファイトカーボンの特性
8)ドライカーボンの特性


■1.カーボン板の特性

カーボンが板が容易に入手出来るようになりましたが、カーボン板を入手しても、必要な形やサイズに合うように切断しなくては役に立ちません。

比較的薄く思えるカーボン板であっても、希望するように正確に切断したり加工することは、道具やノウハウなどが必要で難しい作業であると言えます。カーボンの板を切断し希望するサイズや形状にするためには、使用する工作機械にも適切なものを使用しなくてはなりません。

不適切なものを使用してカーボンの板を切断すると、加工する時に加えられた色々な力によって板の形状が変形してしまい、材料として使えなくなってしまいます。そのため、カーボンの板を切断するための工作機械としては、材料に余計な負荷を与えないウォータージェットを使い切断するのが最適であると考えられています。

ウォータージェット加工は、高速の水に流れによって材料を切断する加工方法です。切断する時に熱が材料に加わらないために、材料が変形することを避けることが出来ますし、精密な処理も可能となります。

また、カーボンの板を切断する以外の穴あけや板の表面の処理などを行うには、さまざまな工作機械を揃え最適なものを用いて加工することが求められます。

そして、カーボンのカッティングシートのようなものには、カッティングマシンを使うのが有効です。
カッティングマシンであればCADデータを使うことも可能なので、考えた通りの切断が即座に行われることになります。




■2.カーボンシートの特性

丈夫でデザイン性に優れたカーボンシートが人気となり、誰でも簡単に購入することが出来るようになりました。しかし、カーボンシートにも色々な種類がありますので、用途に応じて適切なものを選択しないと、思った通りの成果を出すことが難しい面があります。

また、品質面に関しても製造するメーカーの設備や技術力に依存する部分が大きいので、信頼出来るメーカーを選ぶことも重要となります。それでも個人で手軽にカーボンシートを利用したいのであれば、低価格の商品を購入し使うことも良いでしょうが、他の人に見せたり商業的な活動の一環としてカーボンシートを使用するのであれば、メーカーに対して問合せや打ち合わせなどして、希望するようなカーボンシートを調達することを検討する必要があります。

きちんと設備の整ったメーカーであれば、最適なカーボンシートを提案してくれたり、希望通りのサイズにカーボンシートを切断してくれますし、必要であればカーボンシートの素材や色などをカスタマイズしてくれて独自のカーボンシートを作成することも可能です。

もしも、カーボンシートの調達が容易でシートの切断だけが課題であるならば、カーボンシートの切断に向いているカッティングマシンを使って希望する形状にすることが最適の方法です。

カッティングマシンなら大きなサイズのカーボンシートやある程度厚みのあるものでも、自由に切断することが可能です。カーボンシート本来の特性を最大限に活かすためには、このように用途に合わせた製品作りが欠かせないのです。


■3.カーボングラファイトの特性

カーボングラファイトは、他の材料にはみられない様々な特性を持っているために、近年工業用の素材として用いられることが多くなっています。

耐熱性に優れている上に、高温下にあっても強度が低くなることはなく逆に常温時よりも強度が増すために、過酷な環境下で使用される部品の一部として採用されています。

このような材料の用途としては、製品をつくるための金型や鋳型、高熱で物質を溶融・合成する坩堝などがあり、今まで使われていた材料からカーボングラファイトへと変更することで、より良い製品や処理をすることが出来るので、現在では、カーボングラファイトを使って金型や坩堝をつくることが主流となっています。

また、カーボングラファイトには自己潤滑性もあるので、他の部品と接触したり何度も擦れたりしても磨耗したり壊れたりすることがありません。

そのため、激しい運動をする機械用の軸受けなどの摩擦係数の低いことが要求される摺動部品に最適な材料であるため、従来の材料と交換することで優れた性能を示し、大幅な性能向上をした製品も少なくなりません。

他にも、カーボングラファイトには融けた金属やガラスなどに濡れない不浸潤特性、電気抵抗が少なく電気を良く通す導電性・通電特性、酸やアルカリなどの薬品類に対しても反応せずに安定した性質を示すなど色々な特性を持っていますので、今まで以上に多くの製品や部品の材料として使用される可能性を秘めています。


■4.CFRP(炭素繊維強化プラスチック)とは

CFRP(炭素繊維強化プラスチック)とは、炭素繊維にプラスチックを加えてから成形をした複合材のことで、単にカーボン樹脂やカーボンと呼ばれることもあります。プラスチックは軽量で色々な形状にすることができるというのが特徴ですが、弾性率が低いために構造材としては不向きな材料です。

しかし、炭素繊維と組み合わせて補強することでCFRPという高強度な材料となり、さまざまな分野で使用することができるようになったのです。CFRPは鋼よりも比強度・比弾性率ともすぐれていて、疲労強度の保持率も従来の構造材をしのぐ特性を持っていますし、耐熱性も非常に高いので温度が高くなるような場所にも使用可能です。

CFRPの用途としてはゴルフクラブのシャフトや釣り竿などの商品から、航空機・自動車・建設分野など多岐に渡りますが、単に今までの材料の代わりに使用されるだけではなく、CFRPの特性を活用することで性能の大幅な向上や新しい製品が開発可能となっています。これから開発される製品には、CFRPが数多く使われるようになるでしょう。

このようにすぐれた特性を持ったCFRPは、製法によってドライカーボンとウェットカーボンに分類することができます。加圧できるオートクレーブという窯で成型されたドライカーボンは、強度も高くために航空機の翼やロケットの部品などに使用されています。極めて重要な箇所に使用されるので、製造されたCFRPが要求通りの品質であることを確かめるために、入念な検査が行われた後に出荷されます。

ドライカーボンは、オートクレーブを使うために製造コストも高く手間もかかるために量産には向いていません。オートクレーブを使用しないウェットカーボンは、ドライカーボンほどの強度を持っていませんが、安価で軽量であるために幅広い分野で使用されています。CFRPを使用する時は、材料に求められる強度などを理解しながら適切な種類のCFRPを選ぶことが大切です。


■5.カーボン カッティングシートについて

カーボンを材料にした数多くの産業用部品が製造されて新しい製品作りに役立っていますが、個人の方でもカーボンを使った製品を購入して、今までにない機能や装飾を実感することが出来ます。

入手が容易なカーボン製品としては、カーボンを使用して作られたシートがあり、価格はシートのサイズや製品の内容によりますが、比較的低価格の製品も販売されていますので、気軽に購入出来る製品となっています。

このようなカーボンのシートは、様々なものに貼り付けたりすることが出来ますが、最もポピュラーな用途として自動車の外装や内装のために使用することで、高級感に溢れた独特の自動車とすることが出来ますので、自分だけの自動車を持ちたいと思っている人達にとっては人気の商品です。

また、手作業が苦手な人はシートをより手軽に貼ることが出来るようになっているカッティングシートを利用すれば、簡単に綺麗な仕上がりにすることが出来ます。カッティングシートは、接着剤が予め付いていますので、シートを適切なサイズに切れば、後は丁寧にシートを貼るだけで良いものです。

このように、産業用の製品だけではなく、一般の方が楽しめるようなカーボン製品も数多く販売されるようになっています。しかし、カーボンのカッティングシートを必要とする形状に綺麗に切断するにはカッティングマシンなどの専用の設備を利用する必要があります。カッティングマシンは、CADデータも利用出来るものですので、間違いなく思うとおりの形状に切断することが可能です。


■6.カーボンナノチューブについて

カーボンナノチューブとは、10億分の1mというナノ単位の微小技術を使用して作った炭素原子の円筒の構造物のことです。カーボンナノチューブは非常に微細なものでありながら、丈夫で電気抵抗が少なく電子が高速で移動することが出来るので、半導体の部品としてなくてはならないものになっていますし、非常に軽くダイヤモンドのように硬いために、構造物として使用することも出来ます。

その他にも、どのような形にもつくることが出来る性質を持っているので、微細なものを作るのに向いているなどの特性をカーボンナノチューブは有しています。

しかし、このような画期的な性能を有するカーボンナノチューブを実際に見ようとすると電子顕微鏡を使わなくてはなくてはなりません。

そのため、カーボンナノチューブのような微細な技術を実現するためには、電子顕微鏡や微細加工技術ような各種の設備が開発されるようになって、初めてカーボンナノチューブの実用化への道が開かれたのです。

そして、このような微細技術を確かのものとして製品を作り出すには、長年に渡る微細なものに対する技術を蓄積し、より微細なものを扱うことが出来るように技術を開発し続ける努力が大切となります。

そのため、これからカーボンナノチューブの市場が拡大することが予想され多くの企業が市場に参加することになりますが、微細技術についての長い歴史と数多くの実績のある企業だけが、品質が良く信頼性のある製品を作り出すことが可能となるのです。


■7.グラファイトカーボンの特性

グラファイトとは、板状のカーボンの結晶が何層にも重なって出来たもので黒鉛と呼ばれることもあります。

天然のグラファイトも存在して採掘が行われていますが、結晶化していないカーボンを3000℃程度に加熱すると結晶化してグラファイトとすることが出来ます。そして、グラファイトには潤滑剤として優れている性能もあるために、オイルに添加されて使われることもあります。

摩擦係数などの潤滑油としての性能がグラファイトよりも優れている材料は他にもありますが、高温であっても性能が安定しているために、高温になる場所で使われる部品の潤滑剤として使用されています。

その他にも、鉛筆の材料としても使われているので、グラファイトは多くの人に大変に馴染みのある材料と言えます。

しかし、近年はグラファイトの持っている優れた耐熱性や導電性が注目されるようになって、グラファイトカーボンをブロック状にしたものなどが、電池の電極として採用されたり宇宙船の耐熱用の部品として使用されるようになっています。

このようにグラファイトカーボンは、たくさんの注目するべき性能を有するもので、今後さらに応用分野が広がって人々の生活を豊かで便利なものにすることが可能な素材の一つとして期待されています。


■8.ドライカーボンの特性

炭素繊維強化プラスチックの中でも、高圧力を使うことが出来るオートクレーブを使用して作られたドライカーボンは、軽量でありながら極めて強度の高いもので、高い信頼性を持つものです。オートクレーブ内で焼き上がるまで、最適な温度と時間を調節して、不要な樹脂をなくすようにして製造されます。



焼き上がったものは表面処理を行い塗装などをすればドライカーボンの完成です。このように細心の注意をしながらさまざなな要素を調節してドライカーボンは製造されるために、他の材料よりも軽量でありながら強度のある材料となることが出来るのです。

しかし、ドライカーボンを製作するためには、オートクレーブのような高価な設備が必要で、その製造には手作業に頼る部分が多くなるために手間も掛かり大量生産が困難であることから、高価なものとなってしまいます。

そのため、高価なドライカーボンは、価格よりも品質が優先されるレース用の自動車や航空機の機体などに使われるようになっています。

炭素繊維強化プラスチックの製造方法には、ドライカーボン以外にもウェットカーボンのような特別な設備が必要とされず大量生産に向いている製造方法もあります。

ある程度材料が重くなったり強度に余裕があるようものでしたら、ウェットカーボンを採用することも可能ですが、カーボン本来の軽さと強度のある特性を活かしたいのであれば、ドライカーボンによりつくられたカーボン製品を利用しなくてはなりません。



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