CFRPとその特性

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従来のプラスチック製品は、どのような形状にも成型することが出来て大変に便利な素材したが、強度が不足するために使用される場所も限定されたものでした。

しかし、プラスチックに炭素繊維を加えた炭素繊維強化プラスチック(carbon-fiber-reinforced plastic CFRP)は、プラスチックの長所と他の素材に劣らない強度を持ったものであるために、自動車や航空機などのフレームにも使われるようになっています。

CFRPを使用すれば今までの材料と同等以上の強度を保ちつつ大幅な軽量化が実現出来るので、積極的にCFRPが使われるようになりました。高価なCFRPを使ってフレームを製造しても、その機体を使用している間の運用費を安くすることが可能となるので、結果的には経費を削減する効果が期待できるのです。

また、車や航空機の運用の費用を削減するだけではなく、石化燃料の燃焼による温室効果ガスの排出も減らせるために、地球温暖化対策としての効果もあります。

航空機や自動車のフレームに使われるような高価なCFRP以外にも、比較的安価に製造できる方法を用いられて作られたCFRPが、釣具・テニスラケットや住宅・道路のコンクリートを補強する材料など、生活に身近なものに使われています。

課題とされた炭素繊維強化プラスチックのリサイクルについても、さまざまな方法が考案されて、より炭素繊維強化プラスチックを利用しやすい環境が整って来ています。

<目次>
1.カーボンとCFRP
2.カーボンとFRP
3.ナノカーボンについて
4.ファインカーボンについて


■1.カーボンとCFRP

CFRP(カーボンファイバープラスチック)とは、炭素繊維と樹脂の複合材です。カーボンファイバー自体は最小単位が髪の毛程の糸で、有機繊維(石油などから科学的に作り出された繊維)を焼成することで、炭素の分子だけが集まった強靭な強さを持つ糸を人工的に作った物です。このカーボンファイバーを、樹脂のバインダー(主にエポキシ等の熱硬化性樹脂)で、積層した複合材料がCFRPということです。

これはプラスチック自身にカーボンファイバーが持つ、「導電性・耐熱性・低熱膨張率・反応特性・自己潤滑性・高熱伝導性」が兼ね備わっており、現在はさまざまな用途に、幅広く使われています。

また、CFRPの比重は、1.5~1.8程度(鉄の比重は7.8)と、非常に軽い事も特徴です。 ただ、バインダーが樹脂なので、耐熱性は多少劣りますが、特に強度(比強度・比弾性)に優れ、とても軽い素材です。そのため、CFRPの耐熱温度・耐薬品性・硬さなどの特性は、組み合わせて使用する樹脂によって変わることになります。

大きく分けてPAN系とピッチ系があり、PAN系は曲げ強さに優れ、ピッチ系は引張弾性・曲げ弾性に優れています。近年では、綿花やセルロースなどの、植物繊維を高温で焼成し炭素化したCFRPも開発されています。

次に、CFRPの主な使用用途ですが、

・半導体・液晶製造機器、光学機器、飛行機の翼や車両機器のフレーム。
・ロケットのノーズコーンやノズルスロート部の断熱材。
・レジャー用品(釣具・ラジコン・スキー板・スノーボード・テニスラケット・ゴルフシャフトなど)。
・住宅や道路等のコンクリート補強材。
・MRIレントゲン撮影用寝台車・ケーシング。
・搬送機用ロボットアームおよび駆動部。
・大型ファンのブレード。
・自動車部品のサイド・ビーム、ドア・パネル、ヒンジ、サスペンション・アーム、プロベラシャフト、フレーム、バンパー、フロント・エンド、ボンネット、ボディ

など、CFRPはかなり多くの用途に利用されています。生産については、現在、日本のメーカー生産量が世界の70~80%のシェアを占めていて、日本の得意分野となっています。


■2.カーボンとFRP

繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics FRP)は、強度が不足しがちなプラスチックにガラス繊維や炭素繊維などを含ませて、強度を向上させたものです。

ガラス繊維を使用したガラス繊維強化プラスチックは安価に大量生産来るため、多くの製品に使われるようになっていますが、より高い性能を求められる繊維強化プラスチックについては、炭素繊維を使った炭素繊維強化プラスチックが使われています。

他にもアラミド繊維やポリエチレン繊維を使った繊維強化プラスチックもあり、用途に合わせて最適のものを選択して使うことが出来るようになっています。

強度を加えた炭素繊維強化プラスチックは、構造物の材料としても使用することが可能なため、出来るだけフレームの軽量化が要求される航空機・自動車・自転車などの材料として使われるようになっています。

炭素繊維強化プラスチックも製造方法などによりいくつかの種類に分けることが出来ますが、高価なものはロケットや人工衛星などの高品質が要求される箇所にも使用されることがあります。

このような箇所に使われる炭素繊維強化プラスチックは、特別の製造設備と人手を使ってつくられるため、他の炭素繊維強化プラスチックよりも強度があるものになっています。また、炭素繊維強化プラスチックは、カーボンシートなどとしても販売されており、比較的低価格で購入することも出来るようになっています。


■3.ナノカーボンについて

ナノカーボンとは、半導体・機械材料・医学など多くの分野で今後の発展が望まれる超微細技術の一つで、ナノメートル単位の炭素原子を材料として特定の構造にすることによって、軽量でありながら強度のあるものを作成するものです。

今後の技術開発において最も期待されている分野であるナノテクノロジーの中でも、その有効性や実現性に注目を集めているのがナノカーボンです。ナノカーボンの代表的なものとしてカーボンナノチューブがありますが、数多くの分野で実用化が進み新しい機能の実現に役立っています。

産業用の製品だけでなく、日常の製品にもたくさん応用されるようになっていますので、多くの方々が気軽にナノカーボンを応用した製品を使いその効果を実感しています。

しかし、ナノカーボンはナノ単位の物質を扱うために目で見ることは出来ないので、製造や加工などを行う際には十分な注意が必要となります。知識や経験のない企業や人が安易にナノカーボンを扱おうとすると、健康に悪い影響を与えたり事故などに繋がる可能性もありますので、十分な実績と共に最新の設備を所有した企業がナノカーボンの処理を行う必要があります。

今後ナノカーボンの開発が進み実用化が進むと、新しい製品に対する需要も高まって市場が拡大して数多くの企業がナノカーボンの開発や製造に参加してくるようになりますが、ナノカーボンのような微細技術の実績や設備などがあることが必要となって来ます。


■4.ファインカーボンについて

カーボン製品の中で、一般の生活に一番近いところで使われているものが、「ファインカーボン」といえます。何気ない日々の暮らしの中で、意外なところでファインカーボン製品が使われていることあまり知られていません。それではファインカーボンが使われている例を、分野別にご紹介します。

1)エレクトロニクス分野での利用
精密機器の製造工程で、不純物が問題となる場所でファインカーボンが使われています。特殊なガスの下では、熱の遮蔽など、ファインカーボン製品が半導体産業を支えています。

2)オプトエレクトロニクス分野での利用
携帯電話などに使用されている化合物半導体や、信号機のLED(発光ダイオード)、DVDの信号読み取りに使用される、半導体レーザーの分野の製品を製造するための部品に使われています。また、光ファイバーを製造するためにも等方性黒鉛を中心としたファインカーボン製品が活躍しています。

3)自動車・航空産業等のモールド分野での利用
家庭の中に欠かせないさまざまなプラスチック製品の射出成形型や、高級乗用車、航空機などのエンジン・外装・内装の部品用の金型を作るために、等方性黒鉛材が金型加工用電極材として使われています。金型製造には欠かせないものとなっています。

4)環境・新エネルギー分野での利用
ハイブリットカーの蓄電部分や、太陽光発電の半導体素子など、エコロジーな暮らしが注目を集めている現在、環境・新エネルギー分野でも黒鉛部品や耐熱製品、耐薬品性の高い製品などが多く使用されています。

5)耐熱・熱処理分野での利用
非鉄金属を丸棒・パイプ・板状に製造する連続鋳造分野に、また熱処理に使用される真空炉や熱処理炉のヒーターに、炉壁等の断熱板・冶具台として使用されています。

6)化学工業分野での利用
酸・アルカリなどの溶液の除熱に使われる部品に、熱伝導率が高いこと・耐薬品性が良いことの特長を活かした、ファインカーボン製品が使われています。



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